山口 和敏

熊本を拠点に、テレビディレクターやライターとして30年以上活動してきました。 報道からバラエティ、ドキュメンタリーまで幅広い番組を手がけてきたのですが、2019年に「上顎洞がん」という聞きなれない希少がんにかかり、余命6か月を宣告されました。 その後、抗がん剤、放射線、そして14時間におよぶ手術で右目を失いながらも、「どうせなら、この経験も楽しんでしまおう」と開き直り、今こうしてブログを書いたり、YouTubeで思いを発信したりしています。 今は、ビジネスコンテンツライターやスピーチコンサルとしても活動しつつ、がん患者の「仕事と治療の両立」や「前向きな生き方」に役立つ発信をつづけています。 最近は写真にも夢中です。片目になってから、かえって世界の“本当の表情”が見えるようになった気がしています。Leica片手に、光と影の中に生きる力を探す毎日です。 この先は、クラウドファンディングで出版にも挑戦する予定です。 病気になっても、失っても、人生は終わらない。 そんな希望を、少しでも誰かに届けられたらと思っています。

柔らかくてかわいいもの

エッセイ

入院生活の私的心得

2021/7/28    

 同じ状況の患者さんが2人いて、同じ治療を受けていたとしても、入院中の過ごし方ひとつで、回復のスピードは大きく変わるようです。 逆に――絶対にやってはいけないことがあります。 それは、女性ナースへのセ ...

アイスクリーム

エッセイ

続・ものを食べるということ

2021/7/25    

口からの食事になって2日目。きょうは刻んだ食材にとろみをつけた軟食をいただきます。 課題だった「飲み込み」も問題なくクリアし、食事はばっちり。これで退院が一日近づいた、と気が緩んでしまったのが、……い ...

病院食

エッセイ

ものを食べるということ

2021/7/24    

手術から2週間。いよいよ、口でものを食べるところまでやってきました。 もちろん通常の食事ではなく、細かく砕かれた流動食。でもこの流動食、よくできているんです。細かくされる前に“何だったのか”が、ちゃん ...

はまじい

エッセイ

きょうもひと浴びいきましょう

2021/7/21    

海辺に住んでいることを知った、私が後に「ハマジイ」と呼ぶことになるそのおじいちゃんは、ある日、病棟の廊下の真ん中でちょっともじもじしながら、私が来るのを待っていました。 「(放射線に一緒に行こう)」 ...

談話室の置物

エッセイ

頑固なおじさん

2021/7/20    ,

手術から間もなく2週間。まだ痛みはあるものの、薬でしっかりコントロールできていて、体調はばっちり。仕事も順調にこなしています。 こうして余裕が出てくると、病棟で繰り広げられる楽しい人間模様が、目や耳に ...

サムズアップ

エッセイ

がん治療の私的心得

2021/7/19    ,

「悪性腫瘍が見つかりました。これから検査を受けていただき、治療方法などを話し合っていきたいと思います」 気の利いた医者であれば、 「一緒にがんばりましょう」 のひと言があるかもしれません。それくらい、 ...

眼帯

エッセイ

メタモルフォーゼ

2021/7/16    ,

人は、多くの時間を“身だしなみ”に費やします。最近では、男性も女性も関係なく、鏡の前で髪や顔を触っている時間が長いんだそうです。 実はこれ、人として当然のこと。身だしなみは、他人とのコミュニケーション ...

つかむ

エッセイ

つかみ取れ!

2021/7/14    

 病気の治療とは、もちろん“病”との戦いでもありますが、同時に「痛み」との戦いでもあります。手術のあとは、痛い。とにかく、痛い。 私は人一倍、痛みに弱いようで、「ズキッ」の「ズ」だけでナースコールを押 ...

福ちゃんとめいちゃん

エッセイ

緊急ではない緊急手術

2021/7/11    ,

 7月8日木曜日、上顎洞がんの手術を行いました。上顎洞というところはとても複雑な形をしていて、手術には時間と技術を要します。眼球、骨、上顎と複雑に入り組んだ組織に、どのようなアプローチをするのか――ま ...

準備するもの

エッセイ

夜空を今夜もありがとう

2021/7/6    

 上顎洞に新しい腫瘍が見つかり、手術することになりました。今年2月の手術では、上顎洞の一部を取り除く小規模なものでしたが、今回は目玉から上あごまでを取り除き、ぽっかり空いたところにお腹の肉を詰め込むと ...