笑顔の力を、もう一度信じてみる

笑顔には力がある。

そんな当たり前のことを、僕が本当に実感したのはがんになってからだった。

入院中、辛いときこそ笑顔でいようと決めた。理由は単純で、なぜか笑顔になると気分が少し楽になったからだ。医学的な根拠があるかどうかなんて、当時は知らない。ただ、なんとなく気分がよかったから、できるだけ笑顔でいた。

病院の中では、当然ながら苦しそうな顔をした人が多い。廊下ですれ違う患者も、みんな表情が硬い。でも、こちらが笑顔で挨拶すると、最初は驚いた顔をしながらも、すぐに笑顔になって挨拶を返してくれることが多かった。そこから会話が始まることもあった。

この経験から、僕は思う。病院の「入院生活のしおり」や説明の中に、「書くこと」と「笑顔でいること」の大切さを入れてもいいんじゃないか、と。つらい時こそ、コミュニケーションに活路を見出すべきだし、それを手助けする仕組みがあってもいい。

退院してから気づいた「笑顔の減少」

退院後、改めて気づいたことがある。

それは、働く場所に思いのほか笑顔が少ないということだ。

オフィスで挨拶をしても、返ってこないことがある。あるいは、「挨拶を強制するのはパワハラ」という空気があるらしい。えっ、本当に? 挨拶って、そんなに圧力のある行為なのか?

このままで、本当に大丈夫なのか?

「顔面フィードバック仮説」——笑顔は免疫力を上げる?

実は、「笑顔が気分を良くする」ことには科学的な裏付けがあるらしい。心理学には**「顔面フィードバック仮説」**というものがあり、表情が感情を左右するのだという。

つまり、「楽しいから笑う」のではなく、「笑うから楽しくなる」こともあるのだ。

これがさらに免疫力の向上につながるとなれば、こんな安上がりな健康法はない。病院でも、会社でも、学校でも、もっと意識的に笑顔を取り入れてもいいんじゃないかと思う。

だから、試しに今、笑ってみてほしい。口角をちょっと上げるだけでもいい。

男性も女性も、それだけで魅力が2割増しになるらしい。

この理論が本当に広がれば、もしかすると少子化対策にもなるかも……? いや、それはさすがに言いすぎか。

でも、笑顔の持つ力を、もう一度信じてみてもいいんじゃないか。