エッセイ

半世紀生きたので途中経過をまとめたら

自分

自己紹介文になりました。

熊本を拠点に、テレビディレクターとして30余年。
学生時代には哲学を専攻し、今もなお「人間とは何か」「生命とは何か」といった空恐ろしい問いを抱えながら、幅広いジャンルの番組制作に携わっています。

民放の報道記者を経て、
「映像づくりは独立系であるべきだ」という強い思い込みのもと制作プロダクションを立ち上げました。
リサーチ、企画、編集までを一人でこなすローカル放送の現場で、バラエティ番組から社会派ドキュメンタリーまで幅広く演出・構成を担当しています。

そして、ここ数年の個人的なトピックが「がんサバイバー」としての自分の役割です。
およそ2年前、「上顎洞がん」というけったいな希少がんを発症し、余命6か月の宣告を受けました。

抗がん剤治療、放射線治療、12時間におよぶ手術という“がん治療フルコース”を経験し、右目を失うという過酷な闘病のなかで――
脳のほんのわずかな部位が生み出す絶望や苦悩とは裏腹に、70兆個もの細胞で構成された肉体が持つ「生きようとする力の尊さ」に、深く胸を打たれました。
その気づきが、今の私の制作における原動力になっています。

『夜と霧』のヴィクトール・フランクルに習い、絶望の中でもユーモアが人を支えることを実感しています。
だからこそ「笑いと感動」をテーマに、苦しい状況にある人たちが少しでも救われるような作品をつくれないか――日々、自問自答を繰り返しています。

また、映像制作に加えて、自身の治療体験をもとに医療や人生についてのエッセイも執筆中です。
サバイバーとしての視点が、番組やエッセイに力強いメッセージ性をもたらし、視聴者や読者にとっての“希望の断片”になればと願っています。

人生100年時代の折り返し地点に立った今、ようやく、終わりなき学びと創造の世界の「入り口」に立てたような――そんな気がしています。

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山口 和敏

熊本を拠点に、テレビディレクターやライターとして30年以上活動してきました。 報道からバラエティ、ドキュメンタリーまで幅広い番組を手がけてきたのですが、2019年に「上顎洞がん」という聞きなれない希少がんにかかり、余命6か月を宣告されました。 その後、抗がん剤、放射線、そして14時間におよぶ手術で右目を失いながらも、「どうせなら、この経験も楽しんでしまおう」と開き直り、今こうしてブログを書いたり、YouTubeで思いを発信したりしています。 今は、ビジネスコンテンツライターやスピーチコンサルとしても活動しつつ、がん患者の「仕事と治療の両立」や「前向きな生き方」に役立つ発信をつづけています。 最近は写真にも夢中です。片目になってから、かえって世界の“本当の表情”が見えるようになった気がしています。Leica片手に、光と影の中に生きる力を探す毎日です。 この先は、クラウドファンディングで出版にも挑戦する予定です。 病気になっても、失っても、人生は終わらない。 そんな希望を、少しでも誰かに届けられたらと思っています。

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